臨床検査科

ご挨拶

臨床検査科は、患者様から採取された血液や尿を検査対象とする検体検査部門、患者様自身を検査対象とする生理検査部門から構成されています。
検体検査部門27名、生理検査部門32名、計59名の人員が在籍しており、日々の精度管理に裏打ちされた精度の高い検査結果を迅速に臨床の現場に提供することをモットーに業務を遂行しています。
各種認定資格を有しているスタッフが多く、学会、研修会へも積極的に参加しており、得た情報、知識を現場に持ち帰り、日常の業務にフィードバックすることで、更に精度の高い付加価値のある報告体制を実践しています。
科内で生じたインシデントに関しては、全スタッフで共有し発生の原因、要因を考え、今後の発生予防を検討しております。
更に発展する医療、その技術を積極的に取り入れ、患者様に安心、安全に検査を受けて頂けるよう、臨床検査科員全員で取り組んでいく所存です。宜しくお願い申し上げます。

臨床検査科 部長 樋口義治
技師長 有田 勝

資格名 所有者数 資格名 所有者数
超音波検査士・消化器 19 認定輸血検査技師 3
超音波検査士・体表臓器 17 認定血液検査技師 2
超音波検査士・循環器 12 認定認知症領域検査技師 1
超音波検査士・血管 10 認定微生物検査技師 2
超音波検査士・産婦人科 4 認定心電検査技師 2
超音波検査士・泌尿器 4 二級臨床検査士・微生物学 4
超音波検査士・健診 1 二級臨床検査士・免疫血清学 2
脳神経超音波検査士 1 二級臨床検査士・血液学 4
リウマチソノグラファー 1 二級臨床検査士・呼吸生理 1
血管診療技師 9 二級臨床検査士・臨床化学 1
心臓リハビリテーション指導士 4 二級臨床検査士・循環生理 3
消化器内視鏡技師 5 緊急臨床検査士 6
第二種ME技術検定 3 感染制御認定臨床微生物検査技師 2
植込み型心臓デバイス認定士 2 細胞治療認定管理師 1
心血管インターベンション技師 1 中級バイオ技術者認定 2

検体検査部門

検体検査部門は一般検査、血液検査、生化学・免疫検査、微生物検査、院外検査の各係より構成されており、当院では約27名の臨床検査技師が在籍しています。勤務体制は日勤帯と夜間当直帯を設け、24時間365日体制で、一般外来や入院中の患者さんのみならず、救急で来られる患者さんの検査にも対応しています。また、検査業務以外にも、日勤帯においては外来患者さんの採血業務にも従事しており、臨床検査技師の業務範囲を十分に生かした、より患者さんに近い検査を提供できるよう努めています。

検体検査部門 課長 前田 匡

一般検査室

一般検査とは私たちの体から出る代謝産物である尿や便を主に用いて検査を行う事を指します。 尿検査や便検査は排泄物を検体として用いるため患者さんの負担が少なく、スクリーニング検査 として多く活用されています。
尿検査には尿中の蛋白・糖・潜血などを試験紙を用いて検査する定性検査と、尿を遠心分離機にかけ沈殿した成分に血球等の細胞成分や有形成分を機械と顕微鏡を用いて調べる尿沈渣検査があります。共に 腎機能や尿路系の疾患の有無を調べるのに用いられます。
便検査では主に潜血や寄生虫を対象として調べています。 便潜血検査は消化管の出血を調べるのに用いられ寄生虫検査は腸管への寄生虫の感染が疑われる時に用いられます。 尿検査や便検査の他にも脳脊髄液を調べる髄液検査、 胸水・腹水・心嚢液・関節液を調べる体腔液検査、精子の数、運動率、形態を調べる精液検査を行っています。

生化学検査室

生化学検査室では、主に血液、尿などの試料から約120種類の項目について施設内で測定を行っています。特に迅速検査に力を入れており、診察前に採血された検査の当日報告や救急外来から検査も24時間体制で対応しています。

装置の紹介

検体検査自動化システム (エイアンドティー CLINILOG V4)

迅速かつ正確に測定するために搬送処理システムを採用し、多量の検体も短時間で処理することができます。

生化学自動分析装置 (日本電子 JCA-BM8040)

肝臓、膵臓、心臓など各臓器の状態の指標となる酵素(AST、ALT、アミラーゼ、CKなど)や脂質成分(コレステロール、中性脂肪など)、タンパク成分(アルブミンなど)を測定しています。

免疫血清分析装置

(富士レビオ ルミパルスL2400)

(アボット Alinity iシステム)

感染症(B型肝炎、C型肝炎、コロナ抗原など)や腫瘍マーカー、甲状腺ホルモン、循環器疾患マーカーなどを測定しています。

血液検査室

血液中には酸素を全身に運び、細菌やウイルスなどから身体を守り、出血の際に血液を固めてくれる細胞(赤血球、白血球、血小板)や、血小板と一緒に出血を防ごうと働いてくれる血液凝固因子と呼ばれるタンパク質が駆け巡っています。
血液検査室ではこれらの数や働きを調べるために、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン量などを測定する血球算定(血算)検査、機械でとらえられない細胞形態や異常細胞を顕微鏡で観察する血液像検査、血液を固める(凝固)血液凝固因子や固まった血液を溶かす(線溶)働きをみて、出血・血栓傾向の有無を確認する凝固線溶検査、血小板の凝集能力をみる血小板凝集能検査などを行っています。 また、血液疾患の診断や治療効果の判定に必要な骨髄像検査を行い、顕微鏡で白血病細胞などの有無を確認したり、血液細胞の形態を観察したりしています。さらには、造血幹細胞移植の為の検査としてフローサイトメトリーによるCD34陽性細胞(骨髄や血液中に存在する未分化な細胞)定量検査も行っており移植療法の一端を担っています。

微生物検査室

微生物検査室は、感染症診療や院内感染予防の中心的役割を果たしています。検査室では、患者さんから採取したサンプル(血液、尿、喀痰、便、膿など)を調べて、病気の原因となる微生物の特定やお薬の効き目を調べる検査(抗菌薬感受性試験)を実施します。 微生物検査室の主な業務

  • 顕微鏡での観察・・・サンプルを特殊な染色をして顕微鏡で観察し、原因となる微生物を特定します。
  • 培養検査・・・採取したサンプルを培地に塗って、菌の発育を確認します。
  • 菌に対するお薬の効き目(感受性検査)を調べます。この検査で耐性菌の発見や適切な
  • 抗菌薬の選択をすることができます。
  • 迅速診断検査・・・インフルエンザなどのウイルスを素早く見つける検査をします。
  • 遺伝子検査・・・ウイルスや耐性菌など幅広く検査ができ、短時間で診断に貢献することができます。
  • 細菌のモニタリング・・・病院内での感染拡大防止のサポートをしております。

微生物検査室は迅速で正確な結果報告をすることで、適切な治療方針による迅速な治療開始に貢献しております。感染症診療は病院全体の機能を支える重要な部門です。日々、院内感染対策チーム(ICT)と連携しながら、院内感染防止に努めております。

院外検査室

院外検査は病院内で検査測定を実施していない特殊な検査項目を契約した外部の検査会社に測定を委託し、結果報告の管理などを行っています。
院内で測定が可能な検査項目より遥かに多くの検査項目が測定可能で有る為、重要な検査ではありますが結果報告までに日数が掛かる事や検査目的に適した採血管・採取容器の準備や、必要な検体量・適した提出方法を選択しなければ正確な結果が提供されないことが起きてしまう繊細な検査です。

生理検査部門

当院の生理検査室は、心電図検査、超音波検査など多くの検査を1つのフロアで行い、患者様の各検査の移動が少なくなるようにしています。
病棟、処置室でも検査を行い、他の職種のスタッフとも連携を取りながら、患者さんの診断治療に役立つよう、正確なデータを迅速に提供できるよう心がけております。
また、日々の検査から得られた結果は、医師とカンファレンスを行い、精度の高い検査結果になるよう研鑽しております。

生理検査部門 課長 森 宏樹

心電図検査室

心電図検査室では、心臓の動きを電気的な波形として記録する心電図検査や、24時間に渡り心電図を連続記録するホルター心電図、心電図・血圧を同時に記録しながらトレッドミルやエルゴメータを用いて心電図変化を記録する運動負荷試験、四肢の血圧を記録して動脈の詰まりや動脈硬化の程度を調べる足関節・上腕血圧比(ABI)検査を行っています。

呼吸・神経生理検査室

重症な下肢動脈の狭窄に対して毛細血管レベルでの微小循環を評価する皮膚灌流圧測定(SPP)検査、末梢神経の機能障害を調べる神経伝導速度検査、肺の容積や空気を出し入れする換気機能の強さを測定する呼吸機能検査、脳波を行っています。

超音波検査室

超音波検査は「エコー検査」とも言い、超音波を使って検査をします。体の表面にプローブ(探触子:超音波の出る機器)をあて、体内の臓器からはね返ってくる超音波を画像化しています。レントゲンやCT検査と違い放射線による被曝の心配がなく、身体への負担が少ない検査です。
主な検査項目として、腹部超音波検査(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など)、体表超音波検査(乳腺、甲状腺など)、血管超音波検査(頚動脈、下肢動脈・静脈など)、心臓超音波検査などがあります。

内視鏡検査室

臨床検査技師は、内視鏡センターでの検査・治療の介助や説明、カプセル内視鏡の読影、内視鏡洗浄管理や感染対策、物品管理など多くの業務を担っています。 内視鏡センターとは、内視鏡による検査・治療を専門的に行う部門で、医師、看護師、 臨床検査技師、臨床工学技士、放射線技師などによるチーム医療体制で、各種検査・治療にあたっています。

検査項目 2022年度件数 2023年度件数
心臓超音波 13,244 13,607
経食道エコー 271 310
腹部超音波 8,508 7,502
乳腺甲状腺超音波 7,244 7,014
血管超音波 6,445 7,899
その他部位超音波 2,238 2,177
心電図 31,157 31,001
負荷心電図 967 611
ホルター心電図 1,774 1,453
肺機能検査 6,968 7,580
神経伝導速度 482 388
血圧脈波 1,971 3,291
その他 137 517