当院は呼吸器外科学会基幹施設であり、当科は、肺・縦隔疾患の外科治療に特化した診療科です。しかし、患者さんの診療にあたっては、内科・外科の垣根を取り払って、総括的な治療を円滑に行うべく、呼吸器科と同じ病棟および外来で「呼吸器センター」として活動しております。
外来は、火曜午前・午後と金曜午後に担当していますが、それ以外でも随時、呼吸器センター外来にお問い合わせください。
手術対象疾患は全般的に対応可能です。胸腔鏡下手術の適応範囲が広いことと、ほぼ全例にクリニカルパスを適用していることが特色に挙げられます。結果として、肺癌の標準的根治手術を施行した場合でも、ほとんどの方が術後4-7日目に無理なく退院されています。
治療に関しては専ら低侵襲性を重視し、胸腔鏡下手術に幅広く対応していますが、胸腔鏡下手術の適応外となる隣接臓器浸潤癌に対しては、呼吸器内科、放射線診断科と常に情報を共有し治療の連携をとっています。このような体制を基盤とし、ときには心臓血管外科の協力を得ながら、拡大手術や集学的治療など幅広く高度な医療を提供しています。
地域の先生方との連携を密にとり、早期診断・早期介入による、より良い疾患管理を目指しておりますので宜しくお願い致します。

手術支援ロボット ダビンチSPを用いた手術について
当院では、2025年1月よりダビンチSPを1台新たに導入しました。ダビンチSPが導入されたことにより、肺がん・縦隔腫瘍などの胸部の手術を、1つのきずで、しかも胸を切らずに行うことが可能になりました。当科では、2025年2月に行った縦隔腫瘍摘出術(大阪府第1例目)に続き、肺がんに対する根治手術(肺葉切除+リンパ節郭清)を大阪府第1例目として行いました。ダビンチSPによる肺がん手術の実施施設としては、当院は全国で5番目となります。手術では胸を切らず、肋骨弓の近くの腹壁に長さ4㎝の小さな切開を1つ創っただけで、横隔膜経由で胸の内に入り、その経路を通じてダビンチSPにより肺葉切除を完遂できました。近年、呼吸器のロボット手術は、きず(創)の個数を減らす方向にも努力が向けられていますが、その中で創が1つというのは究極です。また、術後の傷跡が小さいことから、患者さんにより安心していただけることも、ダビンチSPの魅力の1つです。
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こちらより術前・術中のスライドショーをご覧いただけます(外部リンクに接続します)
(※医療処置や手術の過程を示す写真が含まれています。ご理解の上、ご覧ください)