下肢救済・創傷ケアセンター

センターのご紹介

「下肢救済・創傷ケアセンター(以下、「当センター」)」は形成外科、循環器内科、皮膚科、糖尿病内科、腎臓内科、循環器内科、心臓血管外科、リハビリテーション科などの専門医が集結し、チームとして治療をおこないます。各科の専門的知識を共有し、先端技術を導入、検討、実践していくことでフットケア(予防)から難治性疾患の治療まで最先端医療の道を切り開きます。さらに各科それぞれが個別に対応していた疾患も、各科の協力により安全かつ最適な治療の提供が可能となります。
下肢の創傷においては、従来より専門的に集中的に診る科がなく、外科、内科、皮膚科、整形外科等の診療科で関連分野の治療を行うのみで、創傷を明確に評価していなかったため、何故治らないのか、何故再発するのかがわからず、患者様が悩んだり、治療を諦めたりしていました。しかし、当センターでは、各専門医の隔たりなく、チームスタッフがどのような治療、ケアをしたらいいのか診断し、必要な血行再建、デブリードマン処置<壊死組織や不良肉芽(にくげ)の除去>、除圧(じょあつ)治療、軟膏(なんこう)治療、持続吸引療法、血糖コントロールなどの総合的な治療計画を立て、できる限り下肢切断しない治療を目指します。
特に糖尿病患者さんは、合併症により足の感覚低下や血流不良、感染が原因となり足切断のリスクが高くなります。下肢切断を予防するためには、足潰瘍になる前の段階で予防することが大切です。 本院と第二病院の糖尿病・内分泌・代謝内科にかかりつけの患者さんに対して、足の神経障害や血流障害の検査、足・爪の変形や皮膚の状態などをチェックして、異常があれば『下肢救済・創傷ケアセンター』を受診して頂き早期に治療やケアを行い、足切断を予防するように取り組んでいきます。 カテーテル治療での血行再建(EVT)が必要と判断した場合、本院だけではなく、第二病院でもハイブリッド手術室でEVTが可能となりましたので、迅速に加療をさせていただきます。
また、足の障害をできるだけ予防して、いつまでもご自身の足を守っていただけるよう、看護師がそれぞれの患者さんの生活状況に合わせ、ご自身でケアができるような方法を説明させていただきます。78

対象疾患

  • 糖尿病性足病変
  • 閉塞性動脈硬化症に伴う下肢潰瘍
  • うっ滞性静脈潰瘍(慢性静脈不全による下肢潰瘍)
  • その他/下肢難治性潰瘍(褥瘡、熱傷、放射線照射後の潰瘍など)

治療の内容

治療項目 概要
視 診 足全体の視診を行います。キズの有無やキズの状態・痛みの部位や程度・皮膚の色や冷感・熱感の有無、爪の状態や足の変形・履物の確認など、まず全体的に評価します。
検 査 【SPP(皮膚潅流圧)検査】
SPP検査はセンサーを足の甲(足背)と裏(足底)の2ヶ所に装着し、同部を血圧測定のように加圧して皮下組織3~4㎜の深さにある細動脈の血圧を測定する検査です。
検査中は仰臥位で動かないようにして頂く必要がありますが、強い痛みなく検査は終了します。
SPP 50mmHg以上を正常値とし、50mmHgを下回ると末梢動脈疾患が疑われ、低い値ほど重症化を疑います。
【下肢動脈エコー】
超音波機器を用い、リアルタイムで下肢動脈の血流を観察します。
観察することにより、血管壁の肥厚、狭窄・閉塞の場所や範囲などが評価できます。
超音波検査は音の反射を利用しているため、被爆の心配はありません。
【ABI、TBI検査】
ABI検査は両上腕と両足首、TBI検査は両上腕と両足趾 の血圧を同時に測定する検査です。
通常、上腕に比べ足首の血圧はやや高値を示しますが、足の動脈に狭窄や閉塞があるとその部分の血流が悪くなるため血圧は低下します。足首と上腕の血圧を測定し、その比率(足首収縮期血圧÷上腕収縮期血圧)を計算することで、狭窄や閉塞の程度がわかります。
動脈の石灰化が著しい場合はABIが本来より高値となり、実際には狭窄や動脈閉塞があるにもかかわらずABIが基準値の範囲内となり、病変を見逃す可能性があります。
そこで、TBI検査では足趾血管石灰化の進行している患者様でも、閉塞性病変の存在を測定することが可能です。
処置/治療 キズの有無など必要に応じて足の洗浄を行います。
創部の状況により、除圧(じょあつ)治療、軟膏(なんこう)治療、デブリードマン処置<壊死組織や不良肉芽(にくげ)の除去>を行います。
入院を伴う治療(カテーテル治療での血行再建(EVT)、持続吸引療法等)など。
リハビリ 傷を作る原因となっている関節可動域制限や筋力低下に対する運動療法や、傷を悪化させないための除圧・圧分散を目的とした歩行指導などを行います。
義肢・装具 フットウエアは、創傷の治療はもちろん、治癒後の再発防止にも大変重要です。
足に合っていない靴では、すぐに再発したり、新たな問題を生じることが非常に多いからです。
当センターには義肢装具士もおり、医師の判断に応じて患者様一人一人の足に適合するようフットウエアの作製を行います。作製後も継続的に使用感や足への適合性を確認し、必要に応じて再調整を行います。
除圧サンダル、サンダル用インソール、除圧パッドなどもご用意しております。(自費にて購入)
フットケア 一人でも多くの患者さんの大切な足を守る為に、看護師は足だけではなく生活環境や全身状態、セルフケア状況などの確認を行い、足のトラブルとなった原因を把握し、発症予防・足の治療・再発予防ができるように、一人ひとりにあったケアを提供します。
また患者さん自身が「足を治したいという気持ち」をもって頂けるように関わり、杖歩行や押し車でもいいので「一生自分の足で歩けること」を目標に、看護師は医師・理学療法士・靴装具士・検査技師・放射線技師・ソーシャルワーカー・メディカルクラーク・事務員・病棟・手術室と連携してチームで取り組んでいきます。

診察表

診察は、完全予約制になります。ご注意ください。

 
午前 山内 三宅
(末梢血管外科)
黒田 日笠 山内(第1・3)
黒田(第2・3・5)
午後

備考:担当責任者:日笠部長

医師のご紹介

役職 形成再建外科・美容外科 部長
氏名 日笠 壽
専門分野 血管腫・血管奇形・あざの治療・乳房再建
学会認定等 日本形成外科学会形成外科専門医、指導医、皮膚腫瘍外科分野指導医、再建・マイクロサージャリー分野指導医、レーザー分野指導医
日本創傷外科学会専門医
日本レーザー医学会専門医
日本熱傷学会熱傷専門医
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・下肢静脈瘤血管内焼灼術指導医
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会責任医師
身体障害者福祉法指定医
日本マイクロサージャリー学会
日本美容外科学会
日本血管腫血管奇形学会
役職 形成再建外科・美容外科 医長
氏名 山内 菜都美
専門分野 形成再建外科・美容外科全般
学会認定等
役職 形成再建外科・美容外科 医長
氏名 大村 奈々穂
専門分野 形成再建外科・美容外科全般
学会認定等 日本形成外科学会形成外科専門医、再建・マイクロサージャリー分野指導医、レーザー分野指導医
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
日本創傷外科学会
役職 形成再建外科・美容外科 副医長
氏名 黒田 諒子
専門分野 形成再建外科・美容外科全般
学会認定等
役職 形成再建外科・美容外科 医員
氏名 河合 恵
専門分野 形成再建外科・美容外科全般
学会認定等 日本形成外科学会
役職 形成再建外科・美容外科 医員
氏名 柳下 詩織
専門分野 形成再建外科・美容外科一般
学会認定等
役職 形成再建外科・美容外科 医員
氏名 寺川 諒太
専門分野 形成再建外科・美容外科一般
学会認定等 日本形成外科学会
役職 形成再建外科・美容外科 医員
氏名 崔 美善
専門分野 形成再建外科・美容外科一般
学会認定等