腎臓がん

腎臓がんについて

腎臓は、背中側の左右にある握りこぶしほどの大きさの臓器で、体の中の不要なものを尿として排出する働きをしています。腎臓は腎実質じんじっしつという尿を作る部分と、腎盂じんうという尿の通り道に分かれています。腎臓がんは、尿を作る腎実質にできる悪性の腫瘍です。


腎臓がんの発生箇所

腎臓がんの症状

腎臓がんの3大症状として知られているのは、以下の3つです。

  • 血尿(尿に血が混じる)
  • 背中の痛み
  • お腹のしこり(腫瘤)

 

ただし、これらの症状がすぐに現れるわけではなく、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、最近では健康診断や他の病気の検査で行ったCTやエコー検査で偶然見つかるケースがほとんどとなっています。

腎臓がんの診断方法(検査方法)

腎臓がんは、初期には自覚症状が少ないため、多くの場合、健康診断や人間ドックでのエコー検査やCT検査で見つかります。
確定診断のためには、以下のような検査が必要となります。

造影CT検査 造影剤という薬を使って体の中を詳しく撮影する検査で、腎臓がんの診断において最も重要な検査です。造影剤を使うことで、腫瘍の性質(良性か悪性か)や広がり具合、他の臓器への転移の有無などを詳しく調べることができます。
MRI検査 造影剤が使えない場合や、造影CTでも診断がつかない場合に行われます。MRIは磁気と電波を使って体の内部を撮影する検査で、特に血管への広がりなどを詳しく見るのに適しています。
針生検はりせいけん 画像検査だけでは診断が難しい場合には、「経皮的針生検」という検査を行うことがあります。これは、針を使って腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。

なお、腎臓がんには、血液検査でがんの有無を判断できる「腫瘍マーカー」はありません。そのため、画像検査が診断の中心となります。

腎臓がんの治療方法

腎臓がんの治療には、外科的手術、薬物療法、凍結療法、放射線治療などがあります。治療は、がんの進行具合を示す病期(ステージ)、年齢、体の状態などを考え相談して決定します。

外科的手術(手術による治療)

腎臓がんの治療の中心となるのが手術です。腫瘍の大きさや位置に応じて、腎臓の一部または全体を取り除きます。最近では、体への負担が少ないロボット手術や腹腔鏡手術が主流となっています。

ロボット支援下腎部分切除術(RAPN) 腫瘍が小さい場合は、ロボット手術で腫瘍の部分のみを切り取り、なるべく腎臓の働きを温存するようにします。
根治的腎摘除術(ロボット支援下、腹腔鏡下) 腫瘍が大きい場合や、部分切除が難しい場合には、腫瘍のある方の腎臓をすべて取り除きます。ロボット手術や腹腔鏡手術で行うため、傷口が小さく、回復も早いのが特徴です。
開腹手術 ほとんどの手術をロボット手術あるいは腹腔鏡手術にて行いますが、それが難しい場合はお腹を大きく切って取り出す開腹手術にて行います。

手術支援ロボットダビンチ5

ロボット手術の様子
 

薬物療法

がんが最初から他の部位に転移している場合、あるいは手術後に転移が見つかった場合は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬といった薬を使用した治療を行います。

分子標的薬 がん細胞の増殖や血管の新生を抑える薬です。がんの成長に関わる特定の分子を狙って作用します。
免疫チェックポイント阻害薬 がん細胞が免疫の働きを妨げる仕組みを解除し、体の免疫力でがんを攻撃する薬です。分子標的薬と併用されることもあります。

凍結療法

がんが小さく、手術が難しい場合には、針を刺して腫瘍を凍らせて破壊する「凍結療法」が選ばれることもあります。高齢者や持病のある方に適した治療法です。

放射線治療

腎臓がんそのものに対して放射線治療を行うことは少ないですが、骨や脳などに転移した場合に、痛みを和らげる目的で使用されることがあります。

当院の治療の特徴

腎がんは自覚症状が現れにくいので、気付いた時には腎臓の外側にまで広がり体の真ん中を通る下大静脈という大きな血管にまでがんが伸びていることがあります。また、下大静脈から心臓までがんが伸びているという症例もあります。

そのような場合、消化器外科や心臓外科の先生と共同で手術をする必要があります。当院では消化器外科や心臓外科の先生と共同でこのような非常に進んだ腎がんの手術にも対応しています。