お知らせ

「甲状腺癌に対する放射性ヨード外来内用療法」を開始しました

2025.8.1

乳腺・内分泌外科

当院では2025年度より分化型甲状腺癌(乳頭癌・濾胞(ろほう)癌)に対する放射性ヨード(131I)外来内用療法を開始しました。

甲状腺全摘手術では、甲状腺組織が気管と固着したベリー靭帯周囲などに僅かに正常甲状腺組織が残存している可能性があります。また、気管や反回神経浸潤例で癌を切除したケースでは、肉眼的には確認ができなくとも僅かに癌が残存している可能性があります。

カプセルとして経口投与された1110メガベクレル (30mCi)の131Iは、このような残存の可能性がある正常甲状腺組織、あるいは癌が残存している部位に取り込まれ、131Iが出すβ(ベータ)線が残存している正常組織や癌細胞を破壊します。

したがって治療の意義として、微小正常甲状腺組織に対しては同部位における再発リスクの低下や再発時の早期発見であり、微小の癌の残存に対しては補助療法ということになります。治療は外来での実施が可能です。

実施の流れ

1.治療の適応確認と同意
内分泌外科外来にて、治療が適応になるかどうかを確認します。治療の内容を詳しく説明し、患者さんに納得いただいた上で同意をしていただきます。

2.無機ヨード摂取制限
治療に際して、2週間の無機ヨード摂取制限が必要となります。これは、癌組織が正常組織に比べてヨードを取り込みにくい特性を利用し、治療効果を高めるためです。この制限は厳密に守ることが求められます。

3.甲状腺刺激ホルモン(TSH)の役割
治療の一環として、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を高値にする必要があります。TSHが高い状態は、病巣への放射性ヨードの取り込みを促進するためです。そのために、ヒトリコンビナントTSH製剤の注射が通常、連日で計2回必要です。注射を行う場合、甲状腺ホルモン剤の休薬は不要です。

4.放射性ヨード治療のプロセス
治療は放射線治療科で実施します。放射性ヨードを服薬し、通常は治療の48時間後に全身シンチグラフィを行い、ヨードの取り込みを確認します。

6.0mm×17.5mmの大きさのカプセルを1錠服用していただきます。においや味はありません。

5.治療後のフォローアップ
治療後3回(1カ月、2か月、3カ月)内分泌外科外来で採血・診察のチェックが必要です。

以上の流れを踏まえ治療の効果を確認し、必要に応じて追加のケアを行います。健康状態を継続的にモニタリングすることで、早期に異常を発見し、適切な対応を取ることが可能になります。
また、患者さんとのコミュニケーションを大切にし、質問や不安に対して丁寧に答えることで、安心して治療を受けていただけるよう努めてまいります。

お問い合わせ先

乳腺内分泌外科、放射線治療科

お問い合わせ先:大阪けいさつ病院 放射線科 RI室
· TEL:06-6771-6051(代表)
· FAX:06-6775-2838(代表)