第1回 学会報告記を公開しました(Heart Rhythm 2025, San Diego)
2025.9.19
循環器内科 渋谷 祐樹 先生よりHRS(不整脈領域における世界最大級の学会)の報告記が届きました。是非ご覧ください!
このたび、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された【Heart Rhythm 2025】に参加する機会をいただきました。Heart Rhythm(HRS)は、不整脈領域における世界最大級の学会であり、不整脈の診断・治療に関する最先端の研究成果や最新デバイス、アブレーション技術が発表される場です。 世界中の専門医や研究者が一堂に会し、最先端の知見と技術について活発な議論が交わされる本学会は、不整脈診療の未来を方向づける極めて重要な場となっています。
開催地であるサンディエゴは、年間を通じて温暖な気候に恵まれた美しい港町であり、穏やかな海風と青空が印象的な街です。市内中心部には歴史的建造物と近代的な施設が調和する「ガスランプ・クォーター」や、海沿いに広がる「シーポートビレッジ」など、開放的で洗練された雰囲気が漂っています。滞在中は天候にも恵まれ、学会の合間にはサンディエゴならではの景観や街並みを楽しむことができました。
このような素晴らしい環境の中で、最新の知見に触れ、多くの刺激を受けることができたことに感謝しつつ、本報告記をまとめさせていただきます。 今回は、神田先生と私(渋谷先生)の2人で参加させて頂きました。
1. 出発~サンディエゴ到着
学会は4月24日から開催されるため、4月23日伊丹空港出発しました。伊丹空港→成田空港→サンフランシスコ空港→サンディエゴ空港と飛行機を3回乗り継ぎ、計12 時間のフライトで無事サンディエゴに到着しました。サンディエゴは、気温20℃前後と過ごしやすい気候で、非常に天気も良く、南国に来たような感じでした。
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成田空港でBeerとCurry | サンディエゴ到着 |
2. 学会会場
学会会場は、サンディエゴの海沿いに位置するSan Diego Convention Centerでした。景色・雰囲気が非常に良く、気持ちの良い会場でした。写真に収まらない程大きな会場で端から端まで行くのにも一苦労でした。
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企業ブースは日本の学会では考えられない程広大なspaceで、見たことのない製品が数多く展示されていました。
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3. 学会1日目
学会1日目はパルスフィールドアブレーション(PFA)のLive Sessionが朝から夕方までありました。日本ではまだ、3社・3種類のPFAカテーテルしか使用できませんが、海外では様々な形・特徴を持った数多くのカテーテルがすでに使用されており、カテーテルの特徴、治療成績を交えながら実際の手技を見ることができました。この中で日本に入ってくる機種がどれかはまだ分かりませんが、早く色々なカテーテルを使ってみたいなと大興奮でした。
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その後は会場でBeerを片手に、超有名なRoderick Tung先生のLiveを聴くなど、楽しい時間を過ごしました。
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4. 学会2日目
学会2日目は当院の神田先生のポスターSessionがありました。
Optimal Catheter Ablation Strategy for Atrial Fibrillation with Preserved Left Ventricular Ejection Fraction: Sub- analysis of the EARNEST-PVI Trial |
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5.学会3日目
この日は朝からAFやVTのOral Sessionを拝聴しました。特にAFに関しては、皆が気になるところのPFA+後壁隔離やCTI block-line、Lateral-lineの成功率、有効性についての発表が多かったです。日常臨床で気になっているところで、概ね当院で感じている印象と一致するところが多かったです。当院でも今後、これらの知見を踏まえた治療戦略の検討やデータの蓄積を通じて、更なるoutputを目指していきたいと感じました。
この日は学会会場を少し抜け出し、海沿いのレストランで昼食予定でしたが、Uberでの移動中に全く別の店に到着してしまうというハプニングが発生しました。しかし、思いがけず素晴らしい景色に出会うことができ、結果的には良いリフレッシュとなりました。
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6. 学会4日目
学会最終日。この日はLate breaking sessionがありました。非常に大きな会場で、最新のStudyが発表されていました。HRSの中でも最も注目の高いSessionであり、会場は大盛り上がりでした。今後の不整脈診療の方向性を示唆する重要なデータが数多く提示されていました。Roderick Tung先生による反射性失神に対するアブレーションの発表やVivek Y. Reddy先生によるリードレスペースメーカを用いた左脚ペーシングのFirst-in-Humanの発表などが印象的でした。
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7. 学会後活動
学会参加後の夕方以降は、日本各地の著名な先生方と食事をご一緒させていただく機会に恵まれました。
いずれもこの分野で広く知られる先生方ばかりで、日頃から尊敬している方々と直接お話しできたことは大変貴重な経験となりました。診療や研究に対する考え方、今後の展望などについて率直な意見交換ができ、非常に刺激的で、あっという間に時間が過ぎるほど楽しいひとときとなりました。
そして、最終日にはパドレス VS レイズの試合を観戦しました。地元のパドレスは負けてしまいましたが、なんとかモニターにも映ることができました笑。試合後のfireworkがとても素晴らしく、サンディエゴの夜空を鮮やかに彩っていました。アメリカらしいスケールの大きな演出に、会場全体が一体となって盛り上がり、試合結果とはまた別の感動を味わうことができました。
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8. まとめ
今回、Heart Rhythm 2025への参加を通じて、最先端の不整脈診療の現状や今後の方向性について、数多くの新たな知見を得ることができました。特に、PFAに代表される新しいアブレーション技術の進展や、リードレスペースメーカによる新たなペーシング戦略の登場など、今後の臨床に大きな影響を与えうるテーマについて、直接最新情報に触れることができたことは大変貴重な経験でした。
また、学会を通じて、日々の診療や研究活動に対する新たな視点やモチベーションを得ることができました。加えて、国内の著名な先生方との交流を通じて、多くの刺激を受けるとともに、自身の今後のキャリアにおいて目指すべき方向性についても考えるきっかけとなりました。
この経験を活かし、今後さらに日常臨床に還元できるよう、日常診療や研究活動に努めていきたいと思います。
今回このような素晴らしい機会をいただきましたことに、心より感謝申し上げます。