お知らせ

第2回 学会報告記を公開しました (ESC 2025, Madrid, Spain)

2025.9.19

循環器内科

 循環器内科 中渡瀬 智 先生よりESC(欧州心臓病学会)の報告記が届きました。是非ご覧ください!

 ESC (European Society of Cardiology;欧州心臓病学会)は、1950年に設立された世界最大規模の学術集会で、欧州の循環器内科医を中心に世界で10万人程度の学会員を擁します。昨年のロンドン(イギリス)に引き続き、今年の学術集会(ESC Congress 2025)がマドリード(スペイン)のIFEMAで8月29日~9月1日に開催されました。

 私はESC初参加というだけでなく、海外学会としても初参加でしたので楽しみというより不安も抱えながらの学会という感じになりました。アメリカ最大の循環器学会のAHAで3日間開催というのに対して、ESCが4日間ということであり、プログラム的にも非常に充実していました。学会への参加人数も会場の熱気も日本と比べものにならないほどでした。

ESC会場 IFEMA 入口 AM7時半ですが、まだ暗いです。 IFEMA 入口集合写真

1. マドリードについて

 2025年8月29日にエミレーツ航空で関西国際空港を出発し、ドバイでの3時間ほどの乗り継ぎを行い、合計20時間ほどかけてスペインのマドリードバラハス空港に15時ぐらいに到着しました。日本が蒸し暑いのに対して、マドリードは日差しは強いが乾燥しており、汗はあんまりかきませんでした。朝は8時ぐらいまで暗く、逆に夜は21時前ぐらいに暗くなるという感じで変な感覚になりました。宿泊施設はマドリードの繁華街のGran Via周辺のホテルでした。

マドリードGran Via周辺 繁華街から少し歩けば王宮があったりなど

2. 最新のガイドラインや臨床試験が発表される瞬間

 世界中が注目する臨床試験の結果が発表されるHot Line Sessionや、ESCガイドラインの最新版が発表されるNew ESC Guidelines Sessionは、噂通り満席の状態でした。虚血性心疾患に関しては多枝病変のSTEMIの血行再建のタイミングに関するOPTION-STEMIやおなじみの抗血栓療法に関するNEO-MINDSETなどが発表されていました。

 心不全領域では、使うことが少し減っていたジギタリスがHFrEFに再注目を浴びるきっかけとなるかもしれないDIGIT-HF(NEJMに掲載)などがありました。現代はインターネットのワンクリックでこういったエビデンスにもたどりつける時代なので、日々論文などの勉強も大切だと思わされました。また復習していきたいと思います。

Hot Line Sessionの様子 朝一にも関わらず満員で立ち見が出る状態でした

3.  Moderated ePoster Session

 今回、大阪けいさつ病院での発表演者の志波 幹夫先生、松村 未紀子先生、私(中渡瀬 智 先生)が参加したセッションとなります。発表時間3分、Discussion3分という発表時間が短い中で自分の発表内容を伝えるという形式は初めてとなりました。志波先生はHFpEFと冠動脈疾患に関する研究、松村先生はリードレスペースメーカの閾値に関する研究、私はRedo-TAVIに関する研究を発表してきました。

Moderated ePoster発表の様子(左から志波先生、松村先生、中渡瀬先生) 

4. OCVCの会

 OCVCの集いがESC3日目の夜に開催されました。久しぶりに出会う同年代達との会話や、他病院の上級医との話は当院の現在の立場や病院の状況の情報交換として非常に重要となりました。他の病院では後期研修医2年目の先生も発表に来ていました。また、OCVCの会に参加して思ったのは、OCVCという大きなグループで行う日常診療とそれから得られるRCTというのは世界的にもImpactが大きいということが分かりました。

OCVCの集まりの会 

5.息抜きの時間

 当院でのメンバーや他大学の先生を交えた食事会、サッカー観戦をしたり、学会後にバルセロナまで高速鉄道を利用して足を運んだりもしました。

当院メンバーでの食事会  レアルマドリード対マジョルカを観戦  バルセロナ 

6. 最後に

 今回のESCに参加という非常に貴重な機会をいただきました。最後に、今回は病院を休ませていただいた上、皆様のご指導のもとESCに参加という貴重な機会をいただき感謝しております。今後も日常診療に加えて、後輩指導や臨床研究なども進めていけるように中堅になる立場として頑張っていきたいと思います。